宇宙各地の電磁気力を測定する
電磁気力は宇宙を構成する4つの基本的な力の一つです(他の3つは重力・弱い核力・強い核力です)。
電磁気力は宇宙に存在する全ての原子核と電子の関係を決めており、適切な電磁気力がなければ原子も分子も構成されず、全ての物体は飛び散ってしまいます。
これまでにも、クエーサーの観測から、宇宙の遥か彼方にある領域では電磁気力が地球とは異なるかもしれないという報告があがっていました。
今回の研究ではより包括的な結論を導くために、機械学習を利用して複数の宇宙の領域での電磁気力(微細構造定数)が測定されました。
その結果、私たちの宇宙では、ある特定の方向に行くと電磁気力が強くなり、逆の方向に行くと電磁気力が弱くなっていることがわかりました。従来は、宇宙には東西南北などの方向性は存在しないと思われていましたが、どうやら特定の方向性が存在するようなのです。
観測を行った研究者たちは、初めはこの結果を信じられませんでした。
この結果が意味するのは、宇宙は均一ではなく双極的な性質を持ち、宇宙の異なる場所では異なる物理定数が存在することを意味し、既存の均一な宇宙認識を完全に破壊するからです。
しかし繰り返し検証を行っても、結果はかわらず、データは宇宙の不均一と双極性を示していました。
なぜ宇宙に方向性がうまれたのかは、完全に謎のままです。インフレーションやビックバンの方向が大きく歪んでいた可能性もありますが、推測の域を出ません。