- アリは集合知によって感知能力を向上させており、効率的に巣まで食料を運べる
- アリの集合知を模倣することで、コンピュータの探索能力が向上した
- アリは感知能力を向上させるだけでなく、そのために必要な探索範囲すら把握しているかもしれない
アリには「集合知」が見出せます。
「集合知」とは、多くの知識や能力が集まることによって、単一の個体よりも高度な知性が見いだせるものです。これは、集団的知性とも呼ばれています。
イスラエルのワイツマン科学研究所の主任研究員であるオファー・ファインマン氏ら研究チームは、アリが集合知を働かせることによって、食料を効率的に運搬できることを発見しました。
リアル迷路を解く方法
迷路を解くとき、正解ルートをどのように鉛筆でなぞりますか?
「片っ端からなぞっていき、行き止まりだったら引き返す」という方法もありますが、効率が悪いですよね。
多くの方は、分岐点に遭遇すると一旦鉛筆を止めて、目でその周辺を確認して最適なルートを探すのではないでしょうか。そして、最適ルートが分かればそのルートにそって再び鉛筆を走らせるのです。
このように、迷路解答法として効果的なのは、鉛筆の先だけを「部分的」に見るのではなく、「範囲を広げて」見ることでしょう。
しかし、身の丈以上の壁に囲まれた「リアル迷路」の中では、同じような方法は取れません。ふかん的な視点が得られないので、行き当たりばったりに行動するしかありません。
小さなアリたちにとっては、毎日が「リアル迷路」です。障害物が散在する自然界の中で、食料を巣まで運ばなければいけないからです。
では、アリたちはどのように効率的に迷路の正解ルートを見つけだしているのでしょうか?
研究チームは、その能力を明らかにするために、1つの実験を行ないました。