意味飽和を探るジェームズ氏の実験
ジェームズ氏は、意味飽和の効果や原因を確かめるために様々な実験を行ないました。
彼の行なった初期の研究に、「寝ている猫に同じ言葉をかけ続ける」というものがあります。
猫は最初すぐに目を覚ましていましたが、何度も同じ言葉を繰り返されるうちに目を覚ますのが遅くなっていきました。
しかし、異なる言葉で呼びかけると猫はすぐに反応。つまり猫には同じ言葉に対する抵抗ができていったのです。

このような研究を続けたジェームズ氏は2015年に、「意味飽和は一種の疲労です。これは反応抑制と呼ばれます」と結論付けています。
反応抑制とは、同じ言葉が続いたときに、脳が反応を抑制する効果のことです。
通常、脳細胞が言葉に反応し、その意味を思い出すにはエネルギーが必要になります。
そして、回数が重ねられるごとに同じ言葉に反応するためのエネルギーが多く必要になります。更に繰り返されると、遂には数秒待たなければ脳が反応しなくなるのです。
このように、脳は同じ意味を何度も繰り返し引き出されることに抵抗感を持つようになるというのです。
更にジェームズ氏によると、単語によって意味飽和に陥る時間は異なるようです。
例えば、「爆発」などの劇的な言葉は、脳が集中して脳内の関連要素を循環するため、意味飽和になりづらいようです。