体の輪郭を消す!新種のカモフラージュ法とは
また詳しい調査の結果、グラスフロッグは胴体よりも足の方が透明度が高いことが分かりました。大した問題ではないと思いきや、これが重要な役割を果たしていたのです。
研究主任のジェームズ・バーネット氏は、次のように解説します。
生物の視覚システムは、2つの異なる色が隣接する輪郭部分(エッジ)に敏感です。2色のコントラストが強いほど、エッジが明確に浮かび上がり、天敵に見つかりやすくなります。
しかし、グラスフロッグのように足の透明度が高いことで、輪郭部分が周囲に溶け込みます。特に彼らは、足先を胴体にぴったりとくっつける姿勢を取ることで、葉から胴体への自然なグラデーションを生み、体の線を消していたのです。
このカモフラージュ法は、エッジ部分を可能な限り消して、周囲の環境に溶け込むことから「エッジ・ディフュージョン」と命名されています。
バーネット氏によると、「これと同じカモフラージュを実践する生物は他に確認されていない」とのことです。
グラスフロッグが生きる中南米のジャングルは、天敵が数多く存在しているため、昼間は葉陰に隠れて過ごし、天敵がいない夜になってから活動を始めます。
エッジ・ディフュージョンは、グラスフロッグが過酷な環境の中で本能的に編み出した必殺技なのでしょう。
研究の詳細は、5月26日付けで「PNAS」に掲載されました。
https://www.pnas.org/content/early/2020/05/22/1919417117