社会への借りを返す
ヘイブンズはずっと教育とは縁遠い世界にいたと話します。
「愚かに聞こえるだろうが、被害者の魂に自分の時間を捧げて、少しでも多くの成果を捧げたい」と、ヘイブンズは語っています。
ヘイヴンズはすでに大学で必要とされる数学はすべてマスターしてしまっていますが、現在(2020年当時)郵便を通してアダムス州立大学の準学士号取得を目指しているとのこと。
殺人の被害者がいる以上、手放しで彼を応援できない人もいるでしょうが、一生かけて償おうとしている姿、その勉学に向ける情熱は評価されるべきでしょう。
服役中に学位を取得することで、再犯率を大きく減らせるという事実は、いくつかの研究から報告されている事実で、更生プログラムの一環として注目を受けています。
教育というものがいかに大切なものであるかは、ヘイブンズ自身も気づいた問題のようです。彼は出所後は、数学のキャリアを積み上げていくと同時に、数学に才能のある受刑者たちを学ばせる非営利組織を作りたいと考えているそうです。
しっかり自分を見つめ直して、考える時間があれば、誰でも人生を変えるきっかけをいつでも掴めるのかもしれません。
彼のもっとも大きな社会貢献は、そうした事実を世に示していることなのでしょう。
ヘイブンズの論文は、ウンベルト氏を含む研究チームより発表され、数論と幾何学に関する査読付き学術雑誌『Research in Number Theory』に2020年1月29日付で掲載されています。
※この記事は2020年6月公開のものを再掲載しています。
なお、クリストファー・ヘイブンズ氏の出所予定は2036年とされています。