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宇宙誕生から約10億年「星が1つもない暗黒時代」を観測する計画  (2/2)

2020.06.18 Thursday

前ページ星のない時代の宇宙

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かすかな声を聞く技術

研究では、マーチソン・ワイドフィールド・アレイ(Murchison Widefield Array、MWA)というアンテナを構築して、このかすかな暗黒時代の信号を観測することを目指しています。

これは7年かけて西オーストラリアの荒野に置かれた、4096本のダイポールアンテナで構成されていて、中性水素原子の低周波信号を拾うことができます。

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Credit: MWA Collaboration/Curtin University

ここでは、宇宙を飛び交う他の電波や、人間活動で発せられるノイズを除去するフィルタリングを利用して、かすかな暗黒時代の信号検出を試みています。

新たな研究では、電波の収集精度が以前の10倍改善されたと報告されていますが、まだ目的の信号の確認は達成されていません。

チームは今後、収集された約3000時間に及ぶデータをフィルターで精査し、とらえどころのない中性水素原子の信号を見つけ出し、宇宙の暗黒時代に近づこうとしています。

暗黒時代の終わりに誕生した、非常に明るい天体は、その光で中性水素を電離させ、現在の宇宙にある水素ガスのプラズマを生み出しました。

この再電離時代から、宇宙には星が溢れていくことになるのです。

現在宇宙には、星に満ちた空間と、何も天体の存在しないヴォイドという空白の空間に分かれています。また、未だに未知の暗黒物質、暗黒エネルギーの問題も存在します。

暗黒時代と再電離時代の境界に何があったのか、最初の天体はどんなものだったのか、中性水素原子のかすかな信号は、そんな宇宙の謎に、重要な手がかりをもたらしてくれるものです。

それを探る研究は、着々と進んでいるようです。宇宙で星々が生まれる前の時代まで観測しようとは、天文学はすごいですね。

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西オーストラリアに構築されたMWA望遠鏡。/Credit:mwatelescope

この研究は、ワシントン大学、メルボルン大学、カーティン大学、ブラウン大学の研究者による国際研究チームにより発表され、論文は天文学に関する学術雑誌『The Astrophysical Journal』に掲載されています。

First Season MWA Phase II Epoch of Reionization Power Spectrum Results at Redshift 7
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab55e4

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reference: phys,Curtin University/ written by KAIN
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