- ゼラチンでできたバイオゲルが開発される
- ゼラチンロボットは食用可能であり、廃棄されると自然に分解される
- 動物のエサや赤ちゃんのおもちゃ、使い捨てロボットとして応用可能
生物は死んだ後、微生物に分解されます。これは、いわば生物が自然界の一部であり、環境にやさしいつくりであることを示しています。
人間のロボット技術が目指すところも、もしかしたら自然の一部になることなのかもしれません。近年では、「生物の形をしたロボット」「生きた細胞を使ったロボット」「脳の働きを模倣したAI」などが研究されてきました。
そして新たに、オーストリアのヨハネスケプラ―大学・実験物理研究所のマーティン・カルテンブルンナー氏らは、自然の循環に逆らわないゼラチンロボットを開発しました。
このロボットは食用可能であり、バクテリアによっても分解されるため極めて環境にやさしく、様々な用途に応用できます。
食用可能!廃棄すると自然に分解されるバイオゲル
ソフトロボティクスの分野は日々進歩しており、機械的特性を持ちながらも柔軟かつ弾性に富んだ材料が開発されてきました。
しかし、それらは特定の環境下での耐久性に乏しく汎用性に欠けていました。また材料が廃棄されることで自然界に有害な影響を与えます。
そこで研究チームは、優れた弾性を持ちながらも、廃棄時には完全に分解してしまう汎用性の高いロボット材料を開発することにしました。
新しく開発された材料は、体内で完全に分解されるゼラチンをベースに作られたバイオゲルです。
ゼラチンベースかつ天然由来の材料で作成されているため、食用可能であり人体に害を与えません。
加えて新しいバイオゲルは、廃水などに存在するバクテリアによって完全分解されるよう設計されています。
耐久性の問題もクリアしており、地中に埋められることで自然に分解されますが、それ以外の状況では分解されることなく安定し続けます。
実際、研究者たちはバイオゲルが一般的な環境で1年以上も特性を保つことを実証しました。