追観測では発見できず
天体の存在は、発見後すぐに世界各地の天文研究所に報告され、数十の地上および宇宙望遠鏡を用いて追観測が行われました。
しかし、何らの光信号も確認できていません。これには3つの理由が考えられます。
1つ目は、観測対象があまりに遠すぎたことです。謎の天体とブラックホールの位置は、地球から8億光年も先にありました。
2つ目は、謎の天体がブラックホールである可能性です。中性子星なら、衝突時に何らかの光を放ちますが、ブラックホール同士だと光は出ません。
3つ目は、両者の質量差が大きすぎたことです。天体が中性子星だったとしても、ブラックホールとの質量差は9倍あります。これでは、中性子星の光が簡単に飲み込まれてしまうのです。
まるで「パックマンが小さな点を一口で食べるようなものだ」と研究員は述べます。
また、重力波が観測された天文現象において、今回の衝突は過去最大の質量差でした。
研究チームは「このような極端な質量差のある天体同士の合体は、現在知られる理論モデルでは不可能です。同様の現象は、私たちが予想する以上に頻繁に起こっている可能性があり、今後の研究課題となるでしょう」と述べました。
謎の天体はすでにブラックホールの一部となってしまいましたが、正体の解明も含め、今後も調査は続きます。
研究の詳細は、6月23日付けで「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されました。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab960f
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/62984
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