巨大な星に何が起きたのか?
2002年から2009年に行われていた研究では、キンマン矮小銀河の高光度青色変光星は、この期間に複数のバースト(爆発)を起こしていたことが記録されていました。
これは星の晩年に起きる可能性がある現象です。
このため、以前の研究ではこの星が2011年以降に終わりを迎える可能性が高いことが示されていました。
こうした巨大な星が消失する場合、通常は超新星爆発を起こします。これは非常に明るいため、見落とされることはありません。
研究チームが考える可能性は2つです。
1つは、ベテルギウス減光の際にも唱えられた説で、塵に覆われて光が隠されているというもの。
晩年の星は巨大に膨れ上がるため、外層の引力が弱まり、ガスとして放出されます。このガスは宇宙空間で冷えて光を吸収する塵となって星を覆ってしまうことがあるのです。
この場合は、将来的に星は再び観測される可能性があります。
もう1つの可能性は、超新星爆発を伴わずに星がブラックホール化したというものです。
巨大な星は、ばくだんいわのように派手に爆発して死ぬのが好きです。
超新星爆発を起こさずに、静かな最後を迎える巨大な星というのは、かなり稀な存在と言えるでしょう。
現状では、超新星なしで星が消失したのか、ただ見えなくなっているだけか決定することはできません。これは今後の観測から明らかになるでしょう。
しかし消える前の質量から考慮した場合、チームの推定では、この星がブラックホール化すればそれは太陽質量の85~120倍となる可能性があるといいます。
もし、本当にこの質量のブラックホールが超新星を伴わずに形成されたとすると、その原理は現在の理論で説明することができません。
私たちがまだ知らない、巨大な星の死に方がこの宇宙にはあるのかもしれません。
この研究は、アイルランドのトリニティ・カレッジ(ダブリン大学)の研究者Andrew P Allan氏を筆頭とした、国際研究チームより発表され、論文は『王立天文学会月報』に6月30日付けで掲載されています。
https://academic.oup.com/mnras/article/496/2/1902/5863970
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