- 農研機構がAI研究用スーパーコンピューター「紫峰(しほう)」を開発
- 紫峰は1秒間に1000兆回計算可能
- 統合データベースとの連動し、研究に必要な画像解析処理が100倍のスピードで可能に
理化学研究所(理研)と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が、International Supercomputing Conference (ISC 2020)で発表されたスパコンの世界ランキング1位を獲得したとして話題になりました。
ところで、「富岳」以外にも高性能な国産コンピューターが開発されていたことをご存知でしょうか。
農研機構(農研)は国内農業系研究機関で初となるAI研究用スーパーコンピューター「紫峰(しほう)」を開発したのです。
紫峰と農研機構内外の研究者が研究データ活用できるデータベース「NARO Linked DB」は2020年5月より稼働開始しています。
農研のスパコン「紫峰」
紫峰は計算速度1ペタflopsを有しており、これは1秒間に浮動小数点演算が1000兆回可能であることを示しています。
ちなみに、「富岳」は400 ペタflopsであり 、1秒に41京5000兆回計算できます。世界1位なので当然ですが、紫峰も富岳の計算速度には及びませんね。
しかし、Mac Pro(2019)が最大で56テラflops(1秒間に56兆回)であることを考えると、紫峰が高性能パソコン(パーソナルコンピューター)とは比べ物にならない計算速度を有していると分かります。
そのうえ国内農業系研究機関においては、1ペタflopsクラスの計算機が導入されるのは初めてことです。
また紫峰に搭載されている画像処理装置(NVIDIA Tesla V100)は、AI・高性能計算等の計算分野において、1つで中央演算装置(CPU)100個分の性能を誇ります。紫峰にはこれが128基搭載されているのです。
これにより、研究者100名が同時にAI計算を行うことも可能。
もちろん計算機能だけでなく、Webブラウザを通した入出力・画像の高速表示なども可能で、スパコンでありながら、利用者にとってパソコンのように扱いやすいものとなっています。