みんなが助けるなら私も助ける
ここで、研究チームは抗不安薬などの処理をしない仲間と一緒ならどうなるだろう、というところに興味を持ちました。
そこで、なにも処理をしていないラットとともに同じ実験を行ってみたのです。
すると、仲間を助ける確率はこれまでの予想に反して単独よりも、2匹、3匹と仲間が多い状況の方が拘束された仲間を助ける確率が高くなるとわかったのです。
これは実際、人間でもいえることだといいます。
監視カメラの映像を分析した研究では、暴力事件の実に90%は、周囲の人々が助けに入ることで止められているのです。
事件を前に、大勢が傍観者になるのか、みんなで助けに入るのか、その境界がどこで生まれるのかはまだ明らかではありません。
これまで傍観者効果は「他の誰かがやるだろう」という責任逃れの心理から来ているとされ、都会の人は冷たいとか、人間社会の闇だ、などと表現されていましたが、どうやらそれは後付の感想に過ぎなかったようです。
「この現象に見られるパターンを理解することは、幼稚園でお互いに親切にしなければいけないと教える以上に深い意味があります」
本研究の筆頭者であるJohn L. Havlik氏はいいます。
なぜなら「傍観者効果」は、人間に限った現象ではないのです。
この研究は、シカゴ大学神経生物学の研究チームより発表され、論文は科学の幅広い領域をカバーするオープンアクセス科学雑誌『Science Advances』に7月8日付けで掲載されています。
https://advances.sciencemag.org/content/6/28/eabb4205
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