- 15分の1のサイズに折り畳む「ハサミムシの羽の究極構造」が解明される
- ハサミムシの羽は扇子を更に折り畳んだような構造で、シンプルな幾何学パターンから成り立つ
- ハサミムシの展開構造は人工衛星用太陽電池パネルや傘、扇子などに応用可能
ハサミムシは一見、羽が生えているようには見えません。しかし、小さな体の中には展開時の15分の1ほどに折り畳まれた羽が収納されています。
その羽は昆虫界最小サイズにまで折り畳めますが、構造は非常に複雑で、これまでどのように折り畳んでいるのか判明していませんでした。
しかし九州大学大学院芸術工学研究院の斎藤一哉氏が、オックスフォード大学自然史博物館の研究者らと共に、ハサミムシの羽の構造を解明することに成功。
これにより、ハサミムシの羽の折り畳み構造を宇宙開発や日用品にまで応用できるようになりました。
「究極の展開構造」を持つハサミムシ
昆虫の羽は、巧妙な展開構造によって成り立っています。非常にコンパクトに折り畳めるだけでなく、瞬時に展開することが可能です。
また、羽を広げた状態でも形状を維持できる特殊なスプリング構造なども報告されており、生物学的にも工学的にも、科学者たちの関心を集めていました。
その中でもハサミムシの羽は昆虫界最小にまで折り畳むことが可能で、その構造は「究極の展開構造」と称されているほどです。
今回、斎藤氏らはマイクロCT(放射線などを利用した内部構造の画像処理)による3次元解析と日本の伝統文化である折り紙幾何学の応用によって、ハサミムシの羽の構造を解明することに成功しました。