- アポロの月面映像は、長時間撮影のためにフレームレートが抑えられ12FPS程度しかなかった
- 海外Youtubeチャンネルの「DutchSteamMachine」は、この映像をAIを使って60FPSに改善
- このAIはオープンソースで、現在も開発、改善が続けられている
人類史に刻まれるアポロ計画の月面映像は、非常に古いフィルム映像のため、不鮮明だったりカクカクしていたりと低品質な映像です。
映像の鮮明化は、NASAなども取り組んでいて、現在はかなり解像度の改善された映像などが公開されていたりします。
しかし、動画の品質には解像度の他にもう1つフレームレートというものがあります。これは1秒間に何コマ映像を映すか、という設定で、高いほうがぬるぬる動く臨場感のある映像に仕上がります。
アポロ計画で撮影された月面着陸の映像は、長時間撮影するためこのフレームレートが低く抑えられていて、1~12FPS(1秒間に1~12コマ)しかありませんでした。
今回こうした12FPSの低フレームレートの映像を、60FPSに改善させたという人が現れました。
フレームレートを上げる処理は、存在しない映像をまるまる作ってフレーム間を埋めなければならいため、技術的にもかなり大変な作業ですが、彼はこれをオープンソースのAIを使って実現したいいます。
ぬるぬる動く月面映像を見てみましょう。
歴史映像を高フレームレートに!
映像の品質を表す数値にFPSというものを聞いたことがあると思いますが、これは「frames per second」の略で、秒間コマ数を意味しています。
動画はすべてパラパラ漫画と原理は同じで、1秒間に何コマ映すかでその動きの滑らかさなどが決まってきます。
1秒間に多くの映像を表示すれば、その分動画は滑らかでヌルヌル動くものになりますが、容量は非常に大きくなります。
古いモノクロ映像やGIFファイルなどが、妙に早回しで動くのは、このFPSが低いため映し出される映像と映像の隙間が大きいからです。
これはアポロ16号の月面探査機の映像です。
この映像はもともと12FPSで撮影されていましたが、AIによる画像処理で60FPSにアップデートされています。
フレームレートが向上すると、映像が滑らかに動き臨場感が非常に増します。この動画も月面の様子がかなりリアルに感じ取れるようになっています。
こちらはアポロ11号の月面を初めて人類が踏んだ瞬間の映像です。
これも最初の部分は1~6FPS、月面を歩いている部分は12FPSしかありませんでしたが、24FPSに改善されています。
現在公開されているどの映像よりも滑らかに動いています。