- 「宇宙細菌・ウイルスに地球の生物は対応できるのか」という思考実験が行われる
- 隕石に含まれているアミノ酸から、仮の宇宙ペプチドが合成される
- 実験により、地球の哺乳類の免疫システムは宇宙ペプチドに効率よく反応しないと判明
火星や土星、木星探索の進展に応じて、私たちは今後遭遇するかもしれない事態を予測し、問題に備えておく必要があるでしょう。
例えば、宇宙で見つかるかもしれない細菌が地球人にどのような影響を与えるか知っておかねばならないかもしれません。
英国エクセター大学の副学長補佐であるニール・ガウ教授ら研究チームは、宇宙細菌に含まれるかもしれないアミノ酸が地球の哺乳類の細胞に与える影響を調査しました。
どうやらこの研究によると、地球生物は宇宙の細菌やウイルスに対処しづらいようです。
宇宙細菌・ウイルスが与える影響とは?
宇宙から飛来する隕石には、ある種のアミノ酸が含まれていることが珍しくありません。これらのアミノ酸は地球上では非常に珍しく、地球の細胞にとっても異質なものです。
仮に宇宙で微小な生命体(細菌・ウイルス)が見つかった場合、これらには地球では珍しいアミノ酸が含まれている可能性もあるわけです。
実際、太陽系のいくつかの場所では液体の水の存在が確認されています。この事実は、宇宙の微生物が存在する可能性を示すものであり、誤って地球の生態系に導入されるとも考えられます。
そのため研究チームは、思考実験として、宇宙細菌が地球の生物にどのような影響を与えるのか調査しました。
研究対象となったのは、隕石によくみられる2つのアミノ酸(イソバリンとα-アミノイソ酪酸)を含むペプチド(アミノ酸の組み合わせ)です。
地球では珍しいアミノ酸を化学合成することで、宇宙細菌に含まれるかもしれない「エキソペプチド」を作り出したのです。
そして、エキソペプチドに私たちの免疫システムがどのように反応するかテストしようと考えました。
実験では、免疫応答の鍵となるT細胞の「エキソペプチドに対する反応」を調査し、地球上に存在する一般的なペプチドに対する反応と比較したのです。