マスクの飛沫防護ランキング
上の図では14種類のマスクの性能をランキングが示されています。
最上位にあるのはN95マスクで、次点で3層構造のサージカルマスク(手術用マスク)となり、続いて綿-ポリプロピレン-綿の順で重なった3層マスク、ポリプロピレンの2層マスクと続きます。
マスクの性能を図るには、人間に実際にマスクをつけてもらった状態で、どれだけ外部からの飛沫が防げるかを測定する方法が考えられます。
しかしマスクの内側は口と直接接しており、機器での測定は困難を極めるでしょう。
人間のマスク着用者を使わず、マスクの内側に設置されたセンサーで通過してくる飛沫を測定することも可能ですが、それでは実際の人間が装着した状態でのマスク能力を測定しているとは言えません。
そこで今回、研究者は発想の転換を行い、マスクをつけた状態で声を出し、マスクの内部から外部に放出される飛沫粒子の数を測定しました。
内部から外部へ漏れる飛沫が少ないほど、外部から内部へ向けた飛沫防護能力が高いと判断したのです。
また飛沫数の検出にあたっては暗所にレーザーを通し、レーザーの光に反射する粒子の数を数えることによって測定しました。
またこれらのランキングを計測された飛沫の量を元にグラフ化すると、上のようになります。
グラフからは、順位の高いマスクほど構成する層が多いことがわかります(N95は4~5層)。
微妙と判断されたマスクは単層が多く、アウトと判断されたものはバンダナやニットといった「マスクもどき」のものが含まれていました。
また最近人気となり記者会見でもよくみられる、「⑧番、手作り風のオルソンマスク(綿2層)」は、上位のマスクほどではないものの、十分な防護力をもつことが明らかになりました。内部にフィルターなどを仕込んで性能を向上させた場合、更なる性能アップが期待されます。
興味深い点としては、フリース素材のマスクの飛沫計測量が、マスク無しを上回る点があげられます。
これはフリースの繊維が大きな飛沫を細かく裁断してしまうからだと考えられます。
結果としてフリースのマスクでは、通常のマスクで十分防げる大きな飛沫まで、通過させてしまうことになりました。
フリースは軽い上に冬場は温かく通気性も悪くないためマスク素材として使われていましたが、実はマスクをしないときよりも多くの飛沫を通過させていたのです。
なお、②番の呼吸弁つきN95の順位が呼吸弁無しに比べて低かったのは、呼吸弁は外部から内部への流入を遮断する一方で、内部から外部への飛沫を通してしまうからだと考えられます。
呼吸弁つきN95マスクは着用者を守る一方で、他者への感染阻止に対しては平均的な性能に留まっているのかもしれません。