ワームホールは安全に通行できる?
ワームホールを安定させる方法が示されましたが、この方法で発生する負のエネルギーは大きいと言ってもそれは量子レベルで見た場合です。
この方法ではワームホールはミクロサイズでしか存在できず、トンネルの距離も非常に短距離しか結べません。
では宇宙船が入れるような大きいワームホールは作れないのでしょうか?
今回の研究は、この問題をランドール・サンドラムモデルを利用すれば解決できるということを示唆しています。
「ワープする宇宙」などの書籍で有名な物理学者、リサ・ランドールらのモデルは、物理学を代表する4つの力のうち重力が非常に微弱である問題を説明するもので、宇宙を5次元時空として記述し、重力はその余剰次元から漏れ出てくる力なので、非常に弱いのだと説明しています。
この5次元時空は、通常私たちが探索するより低いエネルギーの物理学で記述される可能性が高いとされていて、この考えを取り入れれば、既知の物理学に強く相互作用する質量のない場を追加できるのだといいます。
このためには負のエネルギーの発生が必要なため、これが大きなワームホールを支える力になるかもしれないのです。
こうして発生した大きなワームホールは、「外から見た場合ブラックホールと見分けがつかないだろうが、必要な要件が揃えば通過は可能だ」と研究者たちは主張しています。