結局ワームホールに実用性はあるのか?
もしワームホールが通過可能だとすると、これは宇宙をワープするための手段として使えるのでしょうか?
ハーバード大学の Daniel Jafferis氏はこの問題について、安定したワームホールが可能だったとしても、そこを通り抜けるためには通常空間の移動よりも時間がかかるだろうということを以前の研究から示しています。
これに対して今回の研究者らは、ワームホールを通過する旅行者視点では、時間はほとんど経過しないだろうと考えています。
彼らによると、一般相対性理論に従えば、光速で移動する人間は時間の拡張(時間の流れの遅延)を経験するため、1万光年の距離をワームホールで通過した場合でも、旅行者の体感時間は1秒程度だろうといいます。
ただし、ワームホールの外にいる我々の目から見た場合、彼らがワームホールを通過するのにかかる時間は、1万年以上に見えるとのこと。
また、ワームホールの通過には重力が宇宙船を加速させるため、一切燃料を必要としないということも述べられています。
実用的かどうかは怪しい結果ですが、他にもこの研究で示されたワームホールには欠点があります。
まず今回の研究で示された通過可能なワームホールは、自然に形成されるメカニズムが存在しないため、負のエネルギーを利用して誰かが設計して作らなければ実現できません。
そして理論的には可能であると示されているものの、前提とされている時空構造がきちんと現実に存在している必要があります。
やはりワームホールを未来の移動手段にすることは非常に困難なようです。
しかし、SFの主要なメカニズムを現実の世界で真面目に検証してくれる研究は、とても興味深いものです。(ほとんど何を言っているのかわからないとしてもね…)。