散乱光を再構築するアルゴリズム
不透明な障害によって向こう側が隠されている場合、光はその障害物にぶつかって反射したり、通り抜けたとしてもほとんどが散乱してしまうため、見通すことはできません。
しかし、レーザー光は障壁にぶつかっても、いくつかの光子は通り抜け向こう側の物体にぶつかっています。その中のさらに少ない一部の光子が、再び障壁を通り抜けて戻ってきます。
これは非常にわずかな散乱したバラバラな光子ですが、今回開発されたのはそんな光子をすべて集めて、向こう側に何があるのかを再構築できる、という非常に賢いアルゴリズムです。
こうした技術は今回が初めてではありません。散乱光トモグラフィのような光が散乱してしまう障壁を見通す方法はいくつか存在しています。
しかし、こうした方法では、対象との距離は予めわかっていなければならなかったり、弾道光子という散乱媒体の中を短距離だけ直進する光を利用しなければなりません
これらは主に医療現場などで使用され体の内部を見るなど、非常に限定的な短い距離に限られています。
今回のシステムは、そうした前提条件を必要とせず、単純に散乱した光を収集して再構築しているため、もっと大規模な場面で利用することが可能。例えば、豪雨や霧の中での安全な自動運転車のナビゲートや、雲越しに地表を撮影する人工衛星などに活かされるでしょう。