隠された物体の再構築
実験では厚さ1センチの発泡材の衝立越しに照射したレーザーから、その向こう側にある物体の画像を再構築しています。
発泡材に当たったレーザーはときどき、その向こう側へと通り抜け、物体に当たって再び発泡材を通り抜け戻ってきます。
このほんの一握りのわずかな光子を超高感度光子検出器で収集し、3次元で再構築を行うのです。
これにより、このシステムは衝立の向こうの物体を明らかにするだけでなく、3次元空間上のどの位置に存在するかまで明らかにできるのです。
実験では衝立の向こう側の物体をX線などを使わずに、散乱した光だけを手がかりに再現しています。
この研究は、光が少ない手がかりでどこまで再現可能か示す実験であり、新たな観測分野を切り開く技術でもあります。
研究の共著者であるスタンフォード大学のゴードン・ウェツシュタイン氏は、「これは工学的なハードウェアと物理学、そして応用数学の研究領域を組み合わせた高度な技術で、とてもエキサイティングだ」と語っています。
このアルゴリズムがあれば、いずれは氷や雲に閉ざされた惑星の地表の様子も、軌道上から観測する探査機の情報から明らかにできるかもしれません。
この研究はさまざまな可能性に満ちた技術開発の第一歩となるものです。