熱くて若いプレートが温泉を作り、活火山を阻止していた
研究チームは過去1400万年間のフィリピン海プレートの運動を再現することに成功しました。
これにより、現在の九州の下には5000万年以上前にできた古くて冷たいプレートがあり、中国・近畿地方には2500~1500万年前に誕生した若くて熱いプレートが沈み込んでいると判明。
そしてさらにプレートの含水量や温度構造をシミュレートすることで、近畿地方に活火山が存在しない原因を突き止めたのです。
九州地方の下には古くて冷たいフィリピン海プレートが深く沈み込んでおり、これまで想定してきたプレートと活火山の関係を作ります。
しかし中国・近畿地方の下の若くて熱いプレートは深く沈み込んでマントル物質と作用する前に、プレートに含まれた水を放出してしまいます。
その結果、浅い部分に位置する近畿地方では、放出された水(高温流体)が直接温泉になっていたのです。
さらに近畿地方でほとんどのプレート含有水を放出するため、中国地方下まで沈んだときにはマントル物質と作用する水が残っていません。そのためマグマはほとんど生成されず、「なけなし」の活火山が2つできただけでした。
今回の研究で同じフィリピン海プレートでも、その年齢と温度が異なるだけで活火山の生成に大きな違いを生じさせていると初めて分かったのです。
さて活火山が少ない中国・近畿地方ですが、過去200~300万年間に活動していた小型の火山は点在しているようです。研究チームは今後、今回の結果を活かし、このような火山の成因解明に取り組む予定です。