貝形虫類はなぜ巨大な精子を持つのか?
今回発見された貝形虫類は、軟組織の多くが確認でき、生殖器や受精嚢(交尾後に相手の精子を一時的に貯めておく節足動物などが持つ器官)なども残っていました。
これは現代の種とほとんど形状が変わっておらず、彼らが古代から巨大な精子を持ち生殖を行っていたことを示しています。
巨大な精子を持つ理由は、メスが複数の相手と交尾する場合の競争において有利となる要素が存在するからだと考えられています。
これはメスの生殖器官に蓋をするという意味もあったのではと予想されているのです。
そして受精後は、この巨大な精子が成長を助ける栄養源としても利用されます。
ただ、体の小さい種が巨大な精子を持つことは、引き換えに高い代償を払う問題でもあります。
この巨大な精子での生殖を成立されるために彼らは生殖器官を巨大化させなければならず、これらの種の中には、体の体積の3分の1が生殖器官に占められているものも存在します。
このような特徴が、いつ獲得され、どのように進化していったかについては現在謎のままです。
貝形虫類を含め甲殻類は石灰化した殻があるため、化石として残りやすく、豊富な古代のサンプルが見つかっています。しかし、体の軟組織や精子自体は残らないため、その点についてはあまり詳しい研究が進んでいません。
今回の発見は、そんな巨大精子を持つ謎の多い彼らの進化を理解するために、大きな進展をもたらすことが期待されています。