クチバシと砂嚢(さのう)が鳥類を絶滅から救っていた?
太古の鳥類(翼を持った生物)の中には、昆虫や小さな動物を捕まえるために歯が付いているものが存在していました。
しかし別の鳥類は歯の無いくちばしを持っており、歯をもっている鳥類よりもはるかに変化に富んだ食生活を送っていたようです。
クチバシをもつ鳥類たちは、昆虫や動物性の食べ物に特化していなかったので、種子や木の実などの硬いものも摘まみ上げ食べることができました。
そしてこの特性が、白亜紀末の大災害後でも粘り強く生き残ることを可能にしたとのこと。
破壊された森の中から種子を見つけ出して食べ、植生が戻るまでの数十年を待つことができたのかもしれません。
もちろん、クチバシだけが大量絶滅を生き残るポイントだったわけではないでしょう。実際、アヒルのような鳥であるベガビス(英: Vegavis)はその時期に絶滅しました。
英国キングス・カレッジ・ロンドンの解剖学者アビゲイル・タッカー氏は、「クチバシだけでは十分ではありません。強力な砂嚢(さのう)を持ち、硬い種子を砕ける鳥が生存の可能性を高めていました」と述べています。
砂嚢は砂肝、砂ずりとも呼ばれる消化器官の1つであり、鳥類や爬虫類、魚類などに見られます。この器官は分厚い袋状の筋肉でできており、食べたものをすりつぶせるのです。
この「クチバシと砂嚢が小惑星落下からの生存を可能にした」という考えは、鳥類の機能と白亜紀の状態を分析して提出した1つの仮説に過ぎません。
古生物学者たちは今後も6600万年前の大量絶滅に注目し、より深い理解を得るための調査を続けていくことでしょう。