”小脳”の一部を発見か
今回の調査では、高性能の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、新たに見つかった脳組織を細部まで調べました。
その結果、神経細胞を構成する「軸索」や「ミエリン鞘」と見られる構造が発見されています。
さらに、エネルギー分散型X線分析という方法を用いて、発見されたサンプルの化学組成を測定。その結果、炭素と酸素が豊富に含まれたタンパク質が検出されました。
これらをヒトの脳内で見つかるタンパク質のデータベースと比較したところ、すべてがヒトの脳組織に存在することが分かっています。
例えば、「ATP6 VIF」というタンパク質は、神経伝達物質の伝達に関わるものです。
研究主任のピエル・パオロ・ペトローネ氏は「タンパク質の濃度や位置を踏まえると、脳底部の小脳と脊髄の一部に当たるものではないか」と考えています。
2000年近く前の脳が調べられることは大変貴重であり、研究チームは今後、生物学や法医学など多面的なアプローチから調査を続ける予定です。