嗅覚における受容体の働きとは?
人の感覚は受容体と呼ばれるタンパク質が刺激を受け取ることによって生じます。この受容体は変換機として働き、「外部からの刺激」を「特定の情報」に置き換え脳へ送信しているのです。
例えば、レモンのにおい成分(刺激)が嗅覚受容体に到着すると、それに対応する受容体が反応し、脳に「すっぱいにおい」という特定の情報を送ります。これにより私たちは「柑橘系特有のすっぱいにおい」を感じるのです。
この仕組みは過去にも詳しく研究されていて、私たちが感じている香りは実際の「レモンのにおい」というよりも、対応する受容体が人間に与えた「すっぱいにおい」ということになります。
では仮に、この受容体が変化して「すっぱいにおい」ではなく「ハチミツのような甘いにおい」という情報を脳に送るならどうでしょうか?
当然ですが、私たちのレモンに対する感じ方は「ハチミツに似たにおい」へと変化してしまうでしょう。
さて、この受容体は人に共通する遺伝子でつくられているため、ほとんどの人の感覚はおおむね同じです。
しかし新しい研究は、遺伝子の違いが一部の受容体に変化を与えていると報告しています。