翅がパズルのような「インターロッキング式」になっていた
頑丈さの秘密は、外骨格、特に前翅が固くなってキチン質化した「鞘翅(しょうし)」の構造にありました。
空を飛ぶカブトムシなどの鞘翅は、乾燥や細菌から内側の柔らかい翼を保護するために発達しています。ところが、この甲虫の鞘翅は、相互にくっついて、強固なプロテクターの役割を果たしています。
分析の結果、甲虫の鞘翅は、キチン質・繊維状物質・基質タンパク質から成っており、外層はタンパク質濃度が他の甲虫よりはるかに高く、これが頑丈さの一因となっています。
また、鞘翅の接合部を調べると、パズルのピースが噛み合うような「インターロッキング式」になっていました。
さらに、X線を用いて圧縮中の構造変化をリアルタイムで調べてみると、パズルのような接合部は、圧力に応じて固く組み合わさるのではなく、ゆっくりと剥離して衝撃を和らげ、壊滅的なダメージを受けないようにしていたのです。
チームは、得られたデータを用いて同様の構造を3Dプリントしたところ、高い強度と耐久性が実証されています。
キサイラス氏は「この構造や生物学的システムを応用すれば、より強固な人工材料を開発することも可能でしょう」と指摘しました。
インターロッキング構造の実現により、ネジや留め具を使わない頑丈な自動車や建造物の開発も期待されています。