見つかった水は「サハラ砂漠にある量の100分の1」
以前の調査では、2009年に水の痕跡が見つかり、2018年に氷の存在が確認されました。
実際、月の南極域では陽が当たらないことで水の蒸発が防がれ、氷の状態で保存されていることが分かっています。
その一方で、これまでは水分子(H2O)とそれに最も近いヒドロキシ基(OH)とを識別できていませんでした。
しかし、今回のSOFIAによる観測では、水分子に特有の化学的特徴がはっきりと見つかっています。
水が見つかった「クラビウス・クレーター」は、月面上で最大級のクレーターのひとつであり、南半球に位置しており、地球からも見えます。
観測の結果、月の土壌1立方メートルにつき約350ミリリットルの水が含まれており、見つかった水量は「サハラ砂漠全土にある水の100分の1程度」とのことです。
月面の水は、宇宙空間からやってくる隕石のつぶてにより生じると考えられますが、太陽光の当たる場所ではその熱で水が蒸発し、月面には残らないと推測されていました。
今回見つかった水分子は、鉱物内に閉じ込められていたことで蒸発を免れたものと思われます。