下がり続ける人類の平均体温
コロナの影響もあって日頃から体温を気にして計っている人が増えたかもしれません。
あなたの平熱は何度くらいでしょうか? ひょっとすると昔よりなんだか平熱の体温が下がったな、と感じている人もいるかもしれません。
それは勘違いではありません。近年の研究では、健康な成人の体温が低下しているとあちこちで報告されています。
平熱の目安は、1851年にドイツ人医師カール・ヴンダーリッヒ博士が2万人以上の調査から平均体温は37度であると提唱して以来、約2世紀に渡って一般的に使用されてきました。
しかし、英国では2017年に3万5千人の成人を対象とした研究で平均体温が36.6度と、だいぶ低下していることが報告されました。
続いて2020年にアメリカでも、平熱の体温が約36.4であると示す研究が報告され、全体的に人類の平均体温は低下傾向にある可能性が指摘されたのです。
これらの調査は比較的所得の高い先進国で行われていたため、原因については次の2点が指摘されていました。
1つは医療技術の進歩や衛生状態の改善、清潔な水の確保が容易になったことなどで感染症が減ったこと。もう1つは、空調設備が一般的となり年を通じて私たちの体内温度の調節機能がそれほど働かなくなったためです。
この考察は確かにもっともらしい理由に思えました。
しかし、それだけが原因とは言えない可能性が出てきたのです。