ボリビアの先住民族チマネ族の体温低下
今回発表された研究では、ボリビアの比較的辺境にある農村部の住人チマネ族の平均体温が、ここ20年で急速に低下していることを報告しています。
2002年にカリフォルニア大学サンタバーバラ校の人類学者マイケル・ガーヴェン博士が調査を開始したとき、チマネ族の成人の平均体温は37度でした。これは2世紀前にヨーロッパで測定された平均体温と同じ温度です。
ところが、わずか16年間の調査でその平均体温は36.5度まで低下し、その後も毎年0.03度ずつ彼らの平均体温は低下していったのです。
わずか20年足らずの間に、約2世紀にわたってアメリカで見られた体温低下とほぼ同レベルのことが起こった、とガーヴェン博士は語っています。
この研究は、5500人ものチマネ族成人を対象に1万8000回も健康診断を行った大規模な調査データに基づいています。研究では、ずっと同タイプの温度計を使用し続けていて、他にも周囲の気温や体重など体温に影響を与える可能性のある複数の要因も考慮されているため、データはかなり信頼性の高いものです。
これは医師によって完全に健康と診断された10%未満のデータに制限して分析しても、同様の平均体温低下が確認されました。
これまでの研究では、体温低下の理由に先進国ならではの要因が語られていました。しかし、チマネ族は先進国と事情が異なります。