アメリカ人とチマネ族の一致しない環境
ボリビアのチマネ族は比較的辺境の農村部に住む人々です。それは文明から切り離されたとは言えないまでも、先進国のような整った環境ではありません。
もちろんここ20年でチマネ族の健康に関する状況はだいぶ改善はされています。また、毛布や防寒具などの体温調節を支援する道具も彼らには普及してきています。
しかし、先進国のような劇的な医療の進歩、衛生状況の改善、高度な空調テクノロジーは、彼らの生活環境に普及していません。
ボリビア農村部は熱帯地域であり、依然多くの感染症が蔓延しています。また空調設備も設置されていない場所がほとんどです。
この状況でも平均体温の低下が起きたという事実は、これまでの研究考察の内容では説明できない要因が存在することを示唆しています。
感染症の現象や、体温調節の支援をするテクノロジーの普及が人々の平均体温に影響していることは明らかだと研究者は考えています。しかし、それだけでなく、もっと何か大きな要因が起こっていることも間違いないようです。
これはおそらく複数の要因が複雑に重なって現れている可能性が高く、単一の要因で説明できるものではないだろうと研究者は語っています。
体温はもっとも簡単に測定できる健康のバロメータであり、多くの医療が利用している情報です。
世界で見られる体温低下の理由、人類の身体に何が起きているのかを正確に把握するためには、世界中のさまざまな地域の人々をもっと大勢調査する研究が必要となるでしょう。
しかし、少なくとも平均体温の低下は、人類が昔よりも健康で安全に生活できるようになった証である可能性は高そうです。怯える必要はない問題だと思われます。