最高精度の観測装置
歴史的な証明を行うにあたり、研究者たちは実験素材としてセレン化鉄(分子式: FeSe)のセレン原子の約2割を硫黄(S)に置き換えた鉄系素材を選びました。
この特殊な鉄系素材は低温において超伝導を引き起こすことが知られているだけでなく、計算上は、ボース・アインシュタイン凝縮も起こす可能性がありました。
そこで研究者たちは、まず超伝導状態を引き起こし、続いて新たに開発された世界最高精度の光電子分光装置を使って、電子のエネルギー状態を調べました。
もし従来通りの超伝導だけが起きている場合、電子のエネルギー状態は上の図の左側のようなM字の形状をとります。
一方で、超伝導と共にボース・アインシュタイン凝縮が生じている場合、電子のエネルギー状態は図の右側のような、より滑らかな分布をみせます。
測定を行った結果は…明白な右側のパターンとなって現れました。
これは超伝導が従来の生成原理とは異なった、ボース・アインシュタイン凝縮によって超伝導が引き起こされていることを示します。