なぜ日本人は「フグ」を愛するのか?
現在、日本人ほど「フグ」を愛する国民はいません。
実は、日本ではフグ食が公的に禁止された時代があります。
それは1592年のこと、朝鮮出兵の際に兵士たちがフグを食べたことが死亡者が続出し、豊臣秀吉がフグ食禁止令を出したのです。禁止期間はなんと300年近くも続きました。
それでも、町民たちの間ではひそかにフグが食べられていたそうです。江戸時代には、一種の度胸試しとして広まり、「毒を制するものは強くなる」と考えられました。
その後、明治に入って、フグを食べた伊藤博文がその美味しさに感動し、解禁しています。
それと同時に、フグ中毒による死者も急増しました。1886年から1963年の間に、約6400件のフグ中毒が発生し、そのうちの59%が死亡しています。
意識の高まりや規制の強化、調理技術の発達によって、死者は大幅に減りましたが、今でも年間30件、約50人のフグ中毒者が出ており、数人が命を落としています。
外国の方は「日本人はなぜあんなキラーフィッシュを食べるのか」と不思議に思っているそう。
淡白な美味しさが日本人の舌にマッチするのかもしれません。
これから「フグ」のシーズンに入りますが、どうかお気をつけください。