オーストラリアの飛行機がハチの巣作りによって止められていた
オーストラリアの飛行機がハチの巣作りによって止められていた / Credit:Alan P.N.House
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オーストラリアの空港で「ハチの巣」が飛行機を妨害している!?

2020.12.01 Tuesday

最近の研究により、オーストラリアに生息するハチが空港で大きな脅威になっていると判明しました。

ホウロウドロバチ(学名:Pachodynerus nasidens)が、飛行機の速度計「ピトー管」の穴を短時間で埋めてしまうので、いくつかの飛行機が離陸中止を余儀なくされたり、出発後すぐに引き返したりしていたのです。

このハチたちは通常植物や地面に巣を作りますが、鍵穴などの人工的な穴も巣として利用するため「鍵穴ハチ」とも呼ばれています。

オーストラリアの空港にとって悩みのタネとなってしまった鍵穴ハチの生態を見ていきましょう。

>参照元はこちら(英文)

abc.net https://www.abc.net.au/news/science/2020-11-26/keyhole-wasp-nest-pitot-probes-brisbane-airport-aviation-safety/12919668

オーストラリアの空港を出発するエアバスA330の速度計測器の不具合が相次ぐ

エアバスA330-300
エアバスA330-300 / Credit:Masakatsu Ukon / Wikipedia

一般的な飛行機にはピトー管と呼ばれる速度計測器がついています。

ピトー管には中央と側面に小さな穴があり、それぞれの穴から流入する空気の圧力差を測ることで、飛行機の対気速度を計測しているのです。

ピトー管の概念図
ピトー管の概念図 / Credit:mendel / Wikipedia

大型航空機には複数のピトー管があり、主にコクポットの下や翼などについています。

これらすべてのピトー管が同じ数値を示しているとき、パイロットは正しい速度を確信しながら飛行できます。

逆に、数値が一致していないならどこかに不具合が生じているかもしれないのです。

これらの数値は飛行において最も危険なタイミングである離着陸の際に特に重要です。

しかし、2006年の最初の3ヵ月だけでもオーストラリアのブリスベン空港を出発する5つのフライトで、一貫性のない対気速度値が計測されました。しかもこれらのフライト全ては同じ機種エアバスA330によるものだったとのこと。

その後、2013年にも同様の問題がエアバスA330に起きており、ブリスベン空港に緊急着陸しています。

そしてオーストラリア運輸安全局の調査の結果、これらの原因がピトー管内に作られたハチの巣だったと判明。このハチの巣はホウロウドロバチによって作られていました。

次ページホウロウドロバチは一瞬でピトー管に巣を作っていた

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