ホウロウドロバチは一瞬でピトー管に巣を作っていた
ホウロウドロバチはスズメバチ科に属する小さくて黒いハチです。腹部の先端は尖っており、黄色の帯によって黒と黄の縞模様になっています。
もともとはカリブ海と中南米原産のハチなのですが、2010年にオーストラリアのブリスベン港で発見されるようになり、その2年後にはブリスベン空港でも発見されました。
このハチは特定の口径の穴に好んで巣をつくる傾向があり、エアバスA330のピトー管は彼らにとって「丁度良い大きさ」だったようです。
実際、ブリスベン空港の作業員や研究員が、飛行機が到着してから1分以内にハチが飛行機の周りを飛び回っているのを発見しています。
彼らによると「着陸したばかりの飛行機のピトー管は熱すぎるので、冷えるのを待っているのだろう」とのこと。
ホウロウドロバチはピトー管が冷えてから内部をチェックします。
営巣地として適切だと判断するなら、外部から毛虫などのエサを持ってきてピトー管内に詰め込みます。
それから隣に卵を産み、泥で薄い壁を作って密閉。やがて卵が孵化し、幼虫はエサを食べて成長していくのです。
しかもホウロウドロバチの巣作りは非常に素早く、飛行機が空港に待機するわずか2時間で作り終えることが可能。
2015年8月には、A320のフライトにおいて温度計の穴がハチの巣で埋められてしまいました。しかもA320はブリスベン空港に30分しか滞在していなかったのです。