エビは肥料の代わりに命を守ってもらう、「win-winの関係」が判明!
ロングフィンは、食料となる藻類の養殖場を守るために一生を費やします。
それを狙って大きなブダイ(Parrotfish)がよく侵入してきますが、そのサイズ差にかかわらず、ロングフィンは群れで攻撃することでブダイを撃退します。
今回の研究では、あらゆる生物を追い払うロングフィンが「なぜアミ目のエビだけは自らの養殖場にいることを許すのか」について調べたのものです。
研究チームはまず、この傾向がどれほど普遍的に広まっているかを確認するため、中央アメリカ北東部・ベリーズ近海を数十メートルにわたって観察しました。
その結果、アミ目のエビは他のどの生物よりもロングフィンの養殖場にいることが判明しています。
これが偶然のものか、エビの選択によるのかを明らかにするべく、チームは、異なる魚類の匂いのついた水にエビをさらし、その反応を調べました。
すると、エビは必ずロングフィンの匂いがついた水に接近し、他の匂いには無関心だったのです。
では、なぜアミ目のエビは攻撃的なロングフィッシュにあえて近づくのでしょうか。
チームは実験として、採取したアミ目の一群を2つに分け、片方をロングフィッシュの養殖場に、もう片方を養殖場の外に置きました。
その結果、養殖場の外にいたアミ目だけが、他の魚により捕食されたのです。
反対に、養殖場にいたエビは、そこがロングフィッシュのテリトリーとなっているため、天敵の捕食から保護されていました。
そして最後の謎は「エビを養殖場に置くことでロングフィッシュにどんなメリットがあるのか」ということです。
研究チームは「エビの排泄物が藻類を育てる肥料になっているのではないか」と推測しました。
実際に、エビのいる養殖場とエビのいない養殖場を用意し、藻類の成長度合いを観察したところ、明らかにエビのいる方が豊作となっていたのです。
研究主任のロハン・ブルッカー氏は「このことから、ロングフィンはアミ目のエビを家畜化していると断定できる」と述べています。
しかも、これはエビにもメリットがあるwin-winの関係なのです。