・観客がいることで脳の報酬系が活性化、ゲームのスコアに良い影響を与える
人前でスピーチするのが苦手な人に、朗報です。新たな研究で、脳は観客がいないときより、いるときのほうが活性化することがわかりました。
研究はジョン・ホプキンス大学バルチモア校准教授ヴィクラム・チブス氏らのチームによって行われ、“Social Cognitive and Affective Neuroscience”誌に掲載されています。
https://academic.oup.com/scan/advance-article/doi/10.1093/scan/nsy024/4965846
過去の研究でチブス氏らは、アスリートがプレッシャー下で感じる息苦しさが、脳でどのように起こるのかを調べました。その結果、腹側線条体がそれに関わっていることを発見。この結果から、観客の存在がある種の能力のパフォーマンスを阻害するのではないかという仮説をたてました。そこで、観客による有害な影響が脳内でどのように起きるのかを調べることにしたのです。
研究には19歳から32歳の20人が参加し、ビデオゲームをすることで報酬をもらうことが出来ます。報酬の額はどれだけうまくゲームをしたかによって上下します。参加者たちは、2度ゲームをするチャンスが与えられました。一度は他の二人の参加者が見ている中で、一度は観客なしでゲームを行います。ゲーム中参加者の脳の活動をfMRI(機能的核磁気共鳴画像法)でモニターしました。
その結果、ゲームのスコアは、なんと観客がいたときのほうが5から20%高いという結果が出ました。これは仮説とは正反対の結果です。観客が見ている時の脳の活動を見ると、腹内側前頭皮質の活性が上がっていました。この領域は社会的な合図を感知したり、他人の気持ちを考えたり備えたりすることの源泉と考えられています。この領域が活性化すると、次に報酬系である腹内側大脳皮質が高まります。この2つの領域活性で、脳の腹側線条体の活性が爆発的に上がります。この領域は行動に駆り立て、動作スキルを調節する役割があります。
チブスは言います。「観客がいることは、なんの助けにもならないと思うかもしれません。しかし、実際はあなたのパフォーマンスを上げる可能性があります。観客は、多少なりともやる気を起こす誘因として役立ちうるのです」
実験での観客の数は2名でしたが、さらに多くの観客がいた場合どうなるかが、次の研究テーマです。
via:Medical News Today/ translated & text by SENPAI
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