人類が火星に行き、安全に帰ってくるには?
人類が火星に行き、安全に帰ってくるには? / Credit:NASA
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有人火星探索を実現するための課題とは? 人類が火星に行き、安全に帰ってくる方法を徹底検証!

2021.01.09 Saturday

火星探索は人類の夢です。

無人探索機による火星探索が成功した今、続く有人探索にも注目が集まっています。

しかし人類が火星に降り立ち、安全に地球に戻ってくるためには多くの課題を解決しなければいけません。

では有人火星探索にはいったいどのような課題が残っているのでしょうか?

人類が火星に行って戻ってくるための方法を簡単にご紹介しましょう。

phys.org https://phys.org/news/2020-12-people-earth-mars-safely.html

打ち上げと火星への旅に必要な「質量」と「時間」

有人火星探査における最大の課題は、宇宙に打ち上げなければいけない膨大な質量ペイロード)です。これには宇宙や人、燃料、物資などが含まれます。

しかし、通常ロケットで運べるペイロードはほんのわずかな割合だけです。

例えば、アポロ11号をに打ち上げたロケット「サターンV」の重量は3,000トンでした。

ところが、実際に月に届けることができたペイロードはたったの50トン(最初の発射質量の2%未満)だけです。

ロケット打ち上げのイメージ
ロケット打ち上げのイメージ / Credit:NASA

火星への旅行ではさらに多くの燃料が必要になります。

そのため現在のSpaceXの計画は、打ち上げられた宇宙船が、別途打ち上げられた燃料タンカーによって宇宙で燃料補充されるというもの。

燃料を分割して打ち上げることにより、質量の課題を解決しようとしているのです。

さて、この燃料の問題と密接に関係する別の課題もあります。それは時間です。

地球から火星までは非常に遠いので、なるべく移動時間とエネルギー消費を抑えた方法を見出さなければいけません。

しかも、地球と火星はそれぞれ太陽の周りを異なる軌道で公転しており、宇宙船が影響を受ける地球や火星、太陽の重力も考慮しなければいけません。

ホーマン遷移軌道
ホーマン遷移軌道 / Credit:天文学辞典

そうした状況の中で、燃料の点で効率よく移動するためには「ホーマン遷移軌道」に沿うことが大切です。

これは、ほぼ同一軌道面にある地球と火星を少ないエネルギーで移動するための軌道であり、宇宙船は火星が来る予定の位置に向けて発射されます。

ただし発射のタイミングは約2年に1度しかなく、この移動方法でも火星に到着するには約259日かかると言われています。

もっとも、SpaceXはさらに短時間(約180日)で到達できると主張していますが、そのためにはより多くの燃料が必要になるでしょう。

次ページ火星に「着陸」し、「環境」を整え、地球への「帰還」する

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