火星に「着陸」し、「環境」を整え、地球への「帰還」する
宇宙船が火星にたどり着くと、すぐに「着陸」という課題に直面します。
地球に着陸する場合は、大気によって生じる抗力を利用して速度を落とせます。しかし、火星の大気は地球の100分の1の薄さしかありません。
そのため火星着陸には何らかのサポート機能が必要になります。
無人探索機の場合にはパラシュートやエアバッグ、スラスター(ロケットエンジンなどの推進システム)が用いられており、有人機にもそれらを活用できるでしょう。
さて、火星に着陸できたなら、人は生活できる場所を確保しなければいけません。
火星の気温は-140~30℃であり、空気は二酸化炭素と数パーセントの窒素でできています。
当然、人が生活したり作業したりするには、まず気候制御された空間と設備を建造しなければならないでしょう。
そのためにもSpaceXはソーラーパネルなどの重要な貨物便の打ち上げを計画しているとのこと。
そしてこの壮大な旅の最終課題は、地球に人々を安全に帰還させることです。
出発した時と同様のプロセスを経て地球まで戻ってきた宇宙船は、地球の大気圏に突入することになります。
アポロ11号が月から帰還した際には、時速4万kmで地球の大気圏に突入したと言われています。
しかし火星からの帰還の際には、地球に到着するために利用した軌道の影響で、時速4万7,000~5万4,000kmになると考えられます。
ただし、余分の燃料を使って時速2万8,800kmにまで減速させることも可能とのこと。もちろん大気圏に突入した後も、減速させるためにさらなる燃料が必要でしょう。
さて、ここまでで人類が火星に行き、安全に戻ってくる方法を考えました。多くの課題がありましたが、これは実際に直面する課題のほんの一部にすぎません。
しかし、火星への旅を実現させるための技術的要素の大部分は既にそろっています。
後は人類が莫大な時間とお金をかけて、必要な要素すべてをまとめ上げていくだけなのです。
火星への人類到達という夢は遠いようで、案外近くまで迫ってきているのかもしれませんね。引き続き今後の進展に注目できるでしょう。