睡眠不足に陥ったとき、AIはどうなるのか?
今回の研究では、睡眠不足と考えられる状態にAIが陥った場合、ネットワークにはラジオのチューニング中のように、さまざまなノイズが発生したと言います。
そして、AIはなんと幻覚に類似した画像を生成し始めたのです。
これは人間の睡眠不足で報告される症状と、似た状況が再現されているように思えます。
最終的にこの問題は、生物がノンレム睡眠中に脳内ニューロンが受け取っている周波数と振幅の信号を模倣して、ネットワーク内に入力することで解決されました。
ノンレム睡眠は、生物になくてはならない深い睡眠状態のことです。
この擬似的なシステムのノンレム睡眠は、いわゆるPCの非アクティブ状態のスリープモードとはまったく異なります。
PCのスリープモードは、事実上の仮死状態を意味していて、すべての計算活動が時間的に凍結されています。
もし、この仮死状態のスリープを不安定になった今回のシステムで実行すると、次の起動時にはネットワークがリセットされてしまい、学習内容が消去された健忘症のような状態になってしまいます。
つまり、生き物の行う睡眠は、単なる活動の休止状態ではなく、ニューロンの適切な機能を保つために不可欠な休止とは異なる活動状態だと言えるのです。
今回偶然発見された事実は、AIの研究が、私達の行う睡眠という機能の意味を探るためにも有用になる可能性を示しています。
そして、人工知能が高度化し、生物に近い動作が可能な生体脳に近づけていった場合、それが睡眠不足を起こす可能性も示しているのです。
こうして見ると、睡眠がいかに重要なものかがわかってきます。
機械が電気羊の夢を見るかはわかりませんが、彼らにも睡眠が必要になる時代は来るのかもしれません。