意識があるのに体だけが眠ってしまう不思議な症状、カタプレキシー
ナルコレプシーは非常に危険な病気です。
症状が出ると突発的に眠ってしまうため、患者が電車や飛行機の運転に携わっている場合、大事故が起きてしまうからです。
しかしナルコレプシーには突発的睡眠以外にも、不思議な症状が知られていました。
感情が高まると(特に喜び)、全身の筋力が失われて脱力する「カタプレキシー」という現象です。
一見すると、睡眠時の行動異常とは関係がなさそうな病気ですが、今回、研究者たちはこのカタプレキシー(突発的脱力)が意識が目覚めているにもかかわらず「体」が突然眠ってしまう、睡眠障害の一種であると仮説をたてました。
仮説を証明するために、研究者たちは人為的にナルコレプシーを発症させたマウスのVMMに破傷風毒素を注いで神経伝達を破壊しました。
もし同じ睡眠障害であるならば、体を眠らせる(行動抑制信号を出す)延髄の神経回路(VMM)を破壊することで、体の睡眠(カタプレキシー)を防ぐことができるはずだからです。
実験を行った結果、ナルコレプシーを発症しているマウスから、カタプレキシーの症状が顕著に減少していることがわかりました。