非対称な温暖化が及ぼす影響
雲が増加すると、日中の地表を冷やし、逆に夜間は放射冷却を抑えて気温を保つように働くため、夜間の温暖化を促進させます。
雲が減ると、日中はより地表が熱せられ、夜間は熱を放射して失う量が増加します。
昼と夜で温暖化が異なった進み方をするということは、地域によって雲の量に変化が生まれていることを意味します。
夜間温暖化が進んだ地域は、地表が熱せられたことで水蒸気が増えて雲を増やしています。これは日中の日照時間を減らしています。
一方、日中に温暖化が進んだ地域は、気候が乾燥傾向に進んでいることがわかっています。これは降水量の減少につながっています。
どちらのパターンであっても、これは植物の成長に対して大きな打撃を与える変化です。
つまり、夜間温暖化が進む地域では、昼の日照時間が減ることで植物の成長は阻害され、昼に温暖化の進む地域は乾燥によって植物の成長が阻害されます。
これはどうあっても、温暖化によって植生に不利な環境が増加していることを意味しているのです。
また、夜間温暖化の進む地域は気候が湿潤傾向に進むことが示されています。
日本に住んでいると強く実感する事実ですが、昼間の湿度の上昇は、動物の熱疲労のリスクを高める要因となります。
夜間に温度が上昇することは、動物の回復能力を低下させる可能性も指摘されていて、全体的に種を脆弱にさせる要因になると考えられるのです。
雲が増えているとか、夜に温暖化が進んでいる、と言われてもなんとなくピンときませんが、これは地球全体で生物に不利な環境が増えている現れなのかもしれません。