実は、出産前の遺伝子診断は古くから行われてきた
出産前に子供の遺伝子を調べるという試みは、古くは1930年から行われてきました。
最も一般的なのは「羊水検査」として知られており、羊水に含まれる胎児の遺伝子を調べることで、ダウン症などの障害の有無を確かめられます。
そして両親たちは検査結果をもとに、胎児を堕胎するか妊娠を継続するかを決めることになります。
しかし遺伝学の進歩により、この遺伝診断を受精卵までさかのぼって実行可能な技術が開発されました。
この技術の基本となっているのはポリジーンスコアと呼ばれる遺伝子の「成績表」です。
知能をはじめとした人間の才能や身長、スタイルなどの身体的特徴は、単一の遺伝子によって決まるのではなく複数の遺伝子がかかわります。
ポリジーンスコアでは、これら複数の遺伝子を可能な限り全て調べることで、受精卵たちの各分野(健康や才能)のスコア(成績)を数値化できるのです。
そこで体外受精をビジネスとしているGenomicPrediction社は、ポリジーンスコアをもとに、既存の遺伝疾患(糖尿病・統合失調症・冠動脈疾患・乳がん・低身長症)に加えて精神障害や低IQ(75以下)の可能性がある受精卵を特定するサービスを開始しました。
両親たちは提示された成績表をみながら、どの受精卵を選ぶか検討可能となります。
しかしスコア化によって明らかになるのは、成績の下位にある受精卵だけではありませんでした。