加熱中の食材がフライパンにくっつく原因をついに解明!
加熱中の食材がフライパンにくっつく原因をついに解明! / Credit: canva
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加熱中の食材がフライパンにくっつく原因をついに解明! 油表面に「マランゴニ対流」が発生?

2021.02.03 Wednesday

テフロン加工のフライパンを使っているのに、調理中に食材がくっつくことがあります。

油も引いているはずなのに一体なぜなのか、この身近なナゾは意外にも未解決のままでした。

しかしこのほど、チェコ科学アカデミーの研究により、油の加熱時に発生する「マランゴニ効果」が原因と判明しました。

研究は、2月2日付けで『Physics of Fluids』に掲載されています。

Physicists finally figured out why food sticks to a frying pan https://www.newscientist.com/article/2266479-physicists-finally-figured-out-why-food-sticks-to-a-frying-pan/ Why food sticks to nonstick frying pans https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/aiop-wfs012921.php
On formation of dry spots in heated liquid films https://aip.scitation.org/doi/10.1063/5.0035547

フライパン上で起こる「マランゴニ対流」とは?

研究チームは、市販のテフロン加工フライパンに、ひまわり油を厚さ1.5 mmになるように引き、オーバーヘッドカメラで加熱時に起こる様子を撮影しました。

すると、厚みの均等なコーティングの中央に穴(ドライスポット)ができ、油がフライパンの外縁に向かって引き寄せられていきました。

対照的に、中央のドライスポットは徐々に大きくなっていきます。

食材がくっつくのは、このドライスポットです。

これは普段の調理でもよく見られますね。

研究主任のアレクサンダー・フェドルチェンコ氏は「物理学的に説明すると、これは熱毛管流(thermocapillary convection)という現象です」と話します。

熱毛管流は、フライパン上の不均一な加熱によって温度差が生じ、そのせいで油のコーティングに勾配ができる現象です。

具体的には、温度の高いところで油の表面張力が小さくなり、反対に温度の低いところで表面張力が大きくなります。

その結果、油表面の力の釣り合いによって高温から低温へ、つまりフライパンの中央から外側に移動する対流が生じるのです。

これを「マランゴニ効果(対流)」とも呼びます。

マランゴニ対流
マランゴニ対流 / Credit: cradle

さらに、チームは、中央にできたドライスポットが、ある大きさを超えると修復しないことを発見しました。

この臨界サイズは、液体の温度によって変わりますが、原則として、液体の表面張力がフライパンの外縁に引っ張られることで崩れ、失われると達します。

臨界サイズを超えたドライスポットは急速に大きくなり、実験では、毎秒5.5cmのスピードで広がっていきました。

これを踏まえて、フェドルチェンコ氏は、食材がくっつかないようにする方法として、底の厚い鍋を使用することを提案します。

「鍋の底が厚ければ、加熱状態が均一になるので油の温度差が生まれにくくなる」と説明します。

また、油のコーティングを厚くしたり、定期的に食材をかき混ぜるというお馴染みの方法も効果的です。

同氏は「これと同じ現象は、食品や化学薬品の製造過程にも見られるため、産業面での応用も可能でしょう」と話しました。

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