季節を感じる体内時計はどうやって動いているのか?
研究者たちは、このホルモンごとのピークシーズンのズレは、代謝による器官の変動だと考えました。
たとえばコルチゾールのようなエフェクターホルモンは、下垂体ホルモンによって副腎で生産されます。ここで副腎が成長し、生成されたコルチゾールの影響によって、今度は下垂体が収縮します。
これは最終的には副腎への刺激量を減らす原因になるので、今度は副腎が収縮していきます。このループが繰り返されることは既知の現象です。
研究者らは、この現象が自分たちが観察したホルモンの変動と結びつけられると考えました。
この全体のプロセスは数週間から数カ月かけて徐々に行われるので、それぞれの変化にタイムラグが生じ、2つのグループのホルモンのピーク時期の違いを生んでいるのです。
こうしたサイクルを生む正確な原因は今回の研究対象ではありませんが、チームは明暗によって作用する脳内ホルモンのメラトニンが、1年間の体内季節時計を駆動する原因ではないかと考えています。
もし、この仮説が正しいとすると、今回のホルモンパターンは比較的一年間の日の長さが変わらないイスラエルで調査した結果なので、北ヨーロッパで同じ調査を実行した場合、ホルモンの変動がより大きくなる可能性があります。
イスラエスでは5%程度の変動に過ぎませんでしたが、北ヨーロッパでは15%を超える変化となる可能性もある、と研究者は語っています。
また、季節の逆転する南半球の住人では、こうしたホルモンのピーク時期が6カ月ほどずれる可能性もあります。
この裏付けとなるような関連報告を、チームはすでに英国、スウェーデン、オーストラリアのコンチゾールに関する調査研究から発見しているといいます。
動物には、同じ季節にみな出産するような、強い周期性が見られます。
私たち人間にも、このような周囲の環境や季節変化に対照するために進化・適応した痕跡が見られることは、それほど驚くべきことではないのかもしれません。
この研究がさらに進めば、季節に応じたストレスや生殖に関するホルモンの設定点を明らかにできるかもしれないと研究者たちは述べています。
科学的に出会いに向いている季節というものも、もしかしたら存在しているのかもしれません。