ワインマウンとの不思議な繋がりが次々と発覚
ストーンヘンジは、イングランド南西部ソールズベリーにある環状列石で、紀元前3000年頃に建てられました。
使われた石材の産出地は長年の間、謎となっていましたが、昨年のイギリス・ブライトン大学の研究により、石の大部分が、同地から25キロ離れたウィルトシャーの「ウェストウッズ(West Woods)から採取されたものと判明しています。
それでも、一部の石の産出地は不明のままでした。
それは同地周辺では採石できない「ブルーストーン」が使われていたからです。
ブルーストーンは、青と灰色が特徴的な石で、イギリス西部のウェールズにしかありません。
その点に注目して調査を進めた結果、ウェールズ南西部にある「ワインマウン」との強い関連性が発見されました。
ワインマウンは、同国で最も古い環状列石のひとつであり、3番目に大きなサイズを誇ります。
同地から堆積物や炭素を採取し、年代測定を行ったところ、ストーンヘンジより少なくとも400年以上前に建造されていたことが判明しました。
また、ストーンヘンジの構造は、ワインマウンのそれとかなり似ており、模倣して造られたことが示唆されます。
例えば、ワインマウンの直径は約110メートルで、ストーンヘンジを囲む外縁の直径と同じです。
さらに、両者とも夏至の日の出の方向に合わせて石が配列されています。
さらに、ワインマウンの考古学的記録を調べると、紀元前3000年頃までは人も密集して栄えていたようですが、その直後に突如、人的活動がなくなっていたのです。
これはストーンヘンジの建設年代と不思議に一致します。
研究主任のマイク・パーカー・ピアソン氏は「まるで神隠しのように人が消えてしまったのです。おそらく人々は、何らかの理由で、その場を去って行ったのでしょう」と話します。
その際に、自分たちの象徴であるワインマウンを解体し、一部を持ち運んだと見られます。
しかし、ワインマウンからストーンヘンジまでは、距離にして約280キロ離れており、運搬車もない時代にどうやって運んだのかがわかりません。
また、なぜそれほど遠くの場所を移住地に選んだのかも大いに疑問でしょう。
ストーンヘンジの謎は、今後もまだまだ続きそうです。