宗教改革が「幽霊」に与えた影響
このように「死後の世界」といった不確かなものを扱う「宗教」は、「幽霊」といったやはり不確かなものと関わりを持ち始めます。
すると段々と、あまり信心深くない人々が死後の世界を「幽霊」や「超常現象」に結びつけ始めました。
実際に、自らを信仰者としながらあまり教会に行かない人たちが、「全く宗教を信じない人」や「敬虔な宗教信者」と比べて2倍も幽霊を信じやすいことが分かっています。このことから、宗教の違いが、人々が「みた」とする幽霊の違いを作り出している可能性があるのです。
たとえば、中世ヨーロッパのカトリックにおいて、ゴーストは、煉獄(死者の魂が天国に入る前に罪を浄化する場所)において生前の罪に苦しむ人々の魂が、形となって現れたものであるとされていました。しかし宗教改革が起こり、プロテスタントがカトリックから分離すると、ゴーストに対する人々の考え方も変わります。プロテスタントにおいては、魂は死後すぐに天国か地獄のどちらかへ向かうと考えられていたのです。そのため、当時パラノーマル・アクティビティ(超常現象)は、天使や悪魔の仕業であるとされました。
たしかに日本で幽霊のモデルとなっているのは日本人や、近代〜現代のものばかり。幽霊が本当に存在するかは別として、私たちは「自分の世界」というフィルターを通してしか現実を見られないことを思い知らされますね。