民間人が滞在できる宇宙ステーション
ZOZOの前澤氏が、2023年に予定されているスペースXの月周回旅行に参加すると発表したり、民間人でも宇宙旅行できる日が近づいていることは多くの人が実感していることでしょう。
しかし、実際民間の宇宙旅行とはどういったものになるのでしょうか?
窮屈な宇宙船に乗って、ぐるっと地球の回りを飛んで帰ってくるだけなのか。
旅行という以上、宇宙へ行ったらしばらくそこに滞在したいと考えてしまいますが、それはできないのでしょうか?
2018年にゲートウェイ・ファウンデーションが設立したOACは、そんな夢を実現しようとしています。
OACは、熟練のNASAのパイロット、エンジニア、建築家のチームによって、低軌道に「宇宙ホテル」ともなるボイジャーステーションを組み立てる予定を発表しました。
ボイジャーステーションは、NASAのアポロ計画の主要メンバーであったロケット科学者ヴェルナー・フォン・ブラウンによって構想された概念に基づいています。
彼は幅200メートルの車輪型の建造物ならば、月レベルの人工重力を作り出すのに十分な角速度がえられると語っていました。
このステーションは、最大400人を収容でき、レストランや展望ラウンジ、バーやジム、温泉施設まで備えた宇宙最大の人工建造物になるそうです。
そして月に近い重力が働く外側のリング構造には、全長20メートル、幅12メートルのの居住モジュールが24個設置されます。
この巨大なリング施設を作る前に、同社はまず基礎となる小さな構造を軌道上に建設して、概念テストをおこなう予定だといいます。
ここから段階的にステーション建設を進めていき、最終的にはこの巨大な回転リングの宇宙ホテルが完成するのです。
この建設では、必要な資材を軌道上へ打ち上げた後、STAR(Structure Truss Assembly Robot)と呼ばれるロボットがステーションのフレームを組み立てます。
現在このロボットは、重量8トンの地上で動作するプロトタイプを使ってテストされていますが、90分以内に長さ90メートルのトラスセクションを生成するといいます。
トラスというのは三角形を組み合わせたようなステーションを支える支柱の構造です。
地上でのテストが終われば、次はいよいよ軌道上での建設が始まります。
軌道上の建設では、まず直径61メートルのプロトタイプ重力リングを構築して回転させ、地球の約40%近い人工重力を作り出す予定です。
この重力は火星で想定される重力と同等の強さです。
建設は2025年から開始させる予定です。資材の打ち上げや構築には2~3年かかる予定ですが、これらが軌道上に設置されれば組み立てはわずか3日で終わるといいます。
これまで、このような大規模な宇宙の商業活動はありませんでした。
それには軌道上へ資材を打ち上げるコストの問題もありました。
これまで1kgの資材を打ち上げるのに必要なコストは約8000ドル(約85万円)でしたが、スペースX社のFalcon9を使用するとこれが2000ドル未満(21万円未満)で住むことになります。
さらに同社が開発しているStarshipが稼働すれば数百ドルしかかからなくなります。
この宇宙ホテルが完成すれば、地球を眺めながらお酒を飲んだり、低重力でスポーツを楽しむ施設も利用できるようになるのだとか。
建設開始予定もかなり近く、計画はスピーディーに進行される予定のようです。
一度技術が確立されてしまえば、世の中への実装は瞬く間に起きるというのは、携帯やスマートフォンの普及などでも実感されていることです。
宇宙時代はすぐそこまで迫っているのかもしれません。
また、このプロジェクトを実現させる資金集めとして、ORCは2021年4月1日までに、個人投資家が1株あたり0.25ドルで購入できる株式の準備をしています。