再生される惑星の大気
太陽系外惑星GJ1132 bは岩石惑星で、地球によく似た惑星です。
サイズも数倍程度で、密度も地球に近く、年齢も約45億年程度と推定されています。
ぼんやりと霞むような大気を持つ外観は、木星の衛星タイタンに似ていると考えられますが、地球やタイタンに比べて非常に高熱を維持していると考えられます。
研究者の推測では、この星は地球に近い形で形成され、最初は大気を獲得していたと考えられます。
しかし、地球と異なり太陽から適切な距離になかったため、その放射によって、形成から1億年程度の間に最初の大気は失ったはずです。
その後、主星は冷えて強烈な放射は落ち着きを取り戻しました。
現在の惑星の大気は、そうした平穏な時代になってから再生された二次大気だと考えられるのです。
では二次大気の源はどこにあったのでしょう? それは溶岩から放出されたと研究者は考えています。
この惑星は、非常に主星に近い場所にあるため、地球と月の関係と同じように、自転と公転の同期した潮汐ロックの状態にあると考えられます。
この状態で、楕円軌道を描いて公転するとき、惑星は星にもっとも近いときと、もっとも遠いときに、大きく潰されたり引き伸ばされるような潮汐力を受けることになります。
これは潮汐加熱という効果を生み出し、星の内部をかなり高熱に保ちます。
そのため、この惑星は、地球よりはるかに高熱で溶岩が長期間、液体として保たれた状態にあるのです。
この溶岩が放出するガスが、惑星の大気を再生させたと考えられます。
さらに、この惑星は内部が非常に高熱のため、地殻が非常に薄く、おそらく数百メートル程度しかないだろうと研究者は予想しています。
数百メートルの地殻を挟んでマントルが巡っているため、この惑星は火山のような地形を維持することはできず、ほとんどひび割れた卵状態になっているのです。
こうした薄くヒビだらけの地面の至るところから、ガスが吹き出すために、この惑星は1度大気を失ったにもかかわらず、再度濃い大気を獲得したのです。
地球によく似ていながら、形成された位置の関係で非常に苛烈な環境を生み出した系外惑星。
こうした他の星系にある地質活動は非常に興味深い事例です。
まるでドラゴンボールのオープニングに出てきそうな、溶岩を吹くひび割れた地面に覆われた惑星が実際あるというのは、なんともワクワクさせられます。