指紋が指先の感度を増幅させていた
実験では、12人の健康な参加者の指先感度がマッピングしました。
彼らの腕と指を固定し、機械で0.4mmの円錐を皮膚全体に動かしながら当てました。そしてこの時の各ニューロンの応答を記録。
これにより指先で特に敏感なゾーンが分かるのです。
実験の結果、高感度ゾーンの検出領域の幅が、指紋の隆起の幅に等しいと判明しました。
チームは追加で、スキャン速度やスキャン方向を変化させてみましたが、やはり高感度ゾーンは指紋の隆起部分に固定されていたとのこと。
またジャロッカ氏は次のようにも述べています。
「観察した2種類のニューロンは指先に集中しており、2.5cm²の面積に、約500個のニューロン受容野が重なっていることが分かった」
「例えば、ピアスやコインなどの細かい部位に触れると、実際には多くのニューロンが刺激を受け、たとえその部位がわずか0.4mm程度だったとしても、その情報を得られるのです」
つまり指先において、指紋こそがその感度を増幅させていたのです。
しかも指紋は時間経過で変化せず、ケガをしても再生します。外部から小さな情報を取り入れるのに、これ以上ないくらい安定しているのです。
私たちは指先の繊細な感覚をもっています。この感覚を当たり前だと感じている人が多いのではないでしょうか?
ところが繊細な感覚は決して当たり前ではなく、指紋という小さな存在によって与えられていたのです。