植物から動物への水平遺伝を確認!
おおよそ3500万年から8000万年前、コナジラミの先祖は植物の葉に降り立ち、葉脈から水分を吸いあげました。
コナジラミは植物の体液を吸い取って生きている昆虫なので、自然な出来事です。
しかしこの時、ある種の奇跡が起きました。
吸い上げた体液に含まれていたであろう植物の遺伝子が、コナジラミの細胞に紛れ込み、そのコナジラミは、なんと植物の遺伝子を持つ体になってしまったのです。
しかも幸運なことに、吸い上げた遺伝子「BtPMaT1」はコナジラミにとって「お宝」ともいうべきものでした。
多くの植物(トマトやナシ)はコナジラミのように体液を吸い取る虫に対抗するために、体液にある種の毒(フェノール配糖体)を流すように進化しました。
そして、コナジラミが盗んだ遺伝子「BtPMaT1」には進化の過程で、植物が自分を毒殺しないための中和薬を作る役割があったのです。
そのため植物にとって「BtPMaT1」は絶対に盗まれてはいけない遺伝子であり、コナジラミにとっては何が何でも手に入れたい遺伝子でした。
「BtPMaT1」を得たコナジラミは植物の毒素をものともせずに食事をとることが可能になり、現在に至るまで大いに繁栄し、農業にとって深刻な害虫として幅をきかせるようになってしまいました。
ですが常識的に考えて、食べるだけで遺伝子を得られる可能性は非常に低いといわざるをえません。
現在、地球上には数十億の人類が住んでいますが、野菜を食べて光合成ができるようになった人間は存在しないでしょう。
では、いったいどうやってコナジラミは植物の解毒遺伝子をゲットできたのでしょうか?