富裕層の寄付のほとんどは、貧困層ではなく富裕層内部を循環している
研究者たちは、富裕層の寄付が社会全体にとって有益であることを認めていますが、現在の状況では、中程度の再分配効果しかありません。
資金の大部分は発展途上国の疾病予防などではなく、先進国や富裕層内部を循環するだけです。
実際、お金持ちの寄付によって最大の恩恵を受けているのは、すでに多額の基金をもつハーバード大学やオックスフォード大学とのこと。
もちろん最先端の研究が促進されるため、この寄付には大きな意味があります。
しかし全体として、富裕層の寄付が非営利団体を助けることはほとんどありません。非営利団体の収入のうち、寄付が占める割合はわずかなのです。
ですから、論文著者のひとりであるイギリス・ニューカッスル大学のチャールズ・ハーヴェイ氏は、次のように結論付けています。
「富裕層の慈善活動とは、自分に直接利益を与えた機関を支援すると共に、彼らが社会の他の部分に影響力を持てるようにするためのものである」
またマクリーン氏は次のように述べています。
「今回の調査は、裕福な慈善家の寄付を辞めさせようとするものでも、彼らの寄付から良いものが生まれないと主張するものでもありません」
「確かに裕福な人の中には、重要な活動を支援する素晴らしい人々がいます。しかし私たちは、こうしたことを組織的な観点で見ており、全体としては多くの改善が可能です」
今回の研究結果は、富裕層の寄付が貧富の差を埋めていないことを明らかにしています。寄付は、「目的」や「寄付する相手」が重要なのです。
現代では「〇〇基金」や「クラウドファンディング」、また「個人的にお金を配る」などの様々な寄付・支援形態があるようです。
では、そのうち貧困層を助ける寄付はどれほど存在しているのでしょうか。